散手について2006/07/26 16:45

前回、套路側からみた散手の役割を書きましたが、今回は散手側からみた套路について書こうと思います。
まず、本来の散手とは無限定の攻防のことでありますが、私達の練習手段の中では、空手等でいう自由組手に相当します。

散手の中では突き、蹴り、投げ、関節技すべて有効です。他の武道、格闘技のスタイルでも認めています。ゆえに散手の視点から見たとき、八極拳は散手の戦闘スタイルの一つであるということです。「八極拳を使えるようになる為には散手は必須ですが、散手においては八極拳が必ずしも必要とはならないのです。」

世の格闘技の世界はシビアです。有効でない技は自然淘汰されます。使えない哲学や理論は用無しです。
彼等の目的は強くなることです。その手段として技を覚えていきます。
相対練習を中心に何度も反復して一つ一つの技を覚え、スパーリングで自由に技をかける練習をします。そんな練習を繰り返している者には一人で行う套路練習は踊りに見え、物足りなく感じます。また、すぐれた理論であっても、実際の攻防の中で有効であると自覚できない限り興味を示しません。
そんなシビアな世界で伝統武術は役に立つのか?

結論からいうと役に立ちます。自分の経験からいうと、現行の格闘技では使用されていない技や、技の連係などで有効に使うことが出来ます。
例えば、組み付かず投げる投げ技や、立技での関節技、短い距離での打撃等は格闘技をしている人の方が、興味を持って聞いてきます。
工夫次第で伝統武術の技は十分使えます。ただ、問題点は伝統武術の練習は一人練習に終始し、相対練習でも約束ごとが多く、観念的な練習に陥りやすいことです。一人稽古や、約束練習で動きの質を向上させることも重要ですが、応用能力を上げていかなければ実際には使えない。ということを忘れてはいけません。